額に尻尾のある子犬が発見される、アメリカ・ミズーリ州

捨てられていた子犬の額には、なんと尻尾がついていた。

額に尻尾のある子犬が動物保護団体「マックス・ミッション」により、凍えるような寒さのなか捨てられていたところを保護された。生後10週ほどとみられている。この子犬には額に尻尾があるだけでなく、本来の場所にも尻尾があるため2つの尻尾を持っていることになる。

この子犬は、イッカクを意味する「ナーワル」と名付けられた。イッカクの角は、厳密には異常に発達した巨大な歯であり、群れにおいての序列を競い合うためにあるものだが、ナーワルが持つこの愛らしい”角”に勝てるような犬はいないだろう。フルネームは「ナーワル・ザ・リトル・マジカル・ファーリー・ユニコーン」というそうだ。

この額にある尻尾についてレントゲン検査を行ったところ、どうやら骨などにはついておらず、痛みの原因にはなっていないという。また、生活上の大きな支障もないため、切除はしない方針であるという。

動物保護団体「マックス・ミッション」ではおもに、ナーワルのような何らかの事情によって特別なケアを必要としている犬を保護している。同団体がフェイスブックに投稿したナーワルの写真や動画は多くの人に拡散され、保護センターの活動自体にも注目が集まっているという。

ナーワルが成長するうえで今後、この尻尾が何らかの問題が引き起こす可能性があるため、里親募集については保留の段階であるが、既に50件以上もの申し込みが寄せられている。

偶然迷い込んだ子犬が、雑種化により姿を消しつつある”純血”のディンゴだった

オーストラリア南東部にあるビクトリア州の小さな町に迷い込んだ一匹の子犬。家の裏庭で見つかったというその子犬は、純血のディンゴであることが分かった。


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オーストラリアの野犬「ディンゴ」

ディンゴはオーストラリアに生息する野生イヌで、一見するとただのイヌに見えるが、ピンと立った三角のとがった耳や、細くしなやかだが強靭な四肢、長く垂れ下がった大きな尻尾など、体の随所にはタイリクオオカミの特徴や風貌が垣間見える。体重は10~15kg程度で、赤みがかった体毛を持ち、単独または群れを作って生活する。

ディンゴの分類学的な位置づけはまだ確立されておらず、タイリクオオカミの亜種であるとする学説と、独立した種であるとする説で大きく分かれている。オーストラリアにある大学の合同研究チームが2019年3月に発表した論文では、ディンゴはイエイヌやオオカミとは異なる多くの特徴があり、オーストラリアという地理的に隔絶された環境で、歴史的に家畜化された確かな証拠が無いことなどから、ディンゴを独立した種であると結論付けている。


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オーストラリアでは、ディンゴは家畜などを襲う害獣と見なされており、不用心な観光客や幼児を襲撃するケースも珍しくない。2019年4月には、オーストラリアのフレーザー島のディンゴが、キャンピングカーの中にいた1歳児を連れ去ろうとしているところを父親が発見し、ディンゴを追い払って救出するという出来事があった。赤ちゃんは深い傷を負ったが、救急ヘリコプターで病院へと運ばれ、一命を取り留めたという。

これまで厄介扱いされてきたディンゴであるが、近年になってその重要性が見直されつつある。現在のオーストラリア大陸に生息しているディンゴは今から約3,000~4,000年前に人間と共にアジアから渡来してきたものと考えられているが、のちに渡来してきたイエイヌとの交雑が進み、種としての”ディンゴの絶滅”が懸念されているのだ。

ディンゴ・ハイブリッドの増加

イエイヌとディンゴの雑種はディンゴ・ハイブリッド(Ding hybrids)または単にワイルド・ドッグ(Wild dog)と呼ばれ、オーストラリアに生息するディンゴの大半はこの雑種化したディンゴ・ハイブリッドだ。現在、純血のディンゴはフレーザー島などのごく一部の地域に限られているという。

ハイブリッド・ディンゴは、当然ながらイエイヌやディンゴの性質を併せ持っており、身体能力が高いうえに病気にも強く、優れた適応能力で生息域を徐々に拡大させつつある。このように、ハイブリット・ディンゴの増加によって交雑は加速度的に進行してしまうため、純血ディンゴの保全活動や雑種化の抑制が急務となっているのだ。

迷い込んだ一匹の子犬

2019年8月、民家の裏庭に迷い込んだ1歳にも満たない仔犬を家主が発見した。仔犬は大型猛きん類に襲われたとみられる引っかかれた傷があり、家主はすぐ動物病院へと連れて行った。
近隣で活動しているオーストラリア・ディンゴ基金の責任者であるリン・ワトソン氏は、この子犬がディンゴであるという話を聞きつけて病院と連絡を取り、保護することになった。

保護された「ワンディ」。

リン・ワトソン氏は、「ワンディ」と名付けられたこのディンゴの遺伝子サンプルをニューサウスウェールズ大学に送って調べるように病院に依頼。その後に送られてきた調査結果には、ワンディが100%純血のディンゴであったことが記されていた。リン・ワトソン氏のディンゴ保護活動チームは歓喜に沸いたという。交雑化が深刻化している今、人やイヌが多く住むような町で純血のディンゴが見つかることは非常に稀なケースだ。

現在、ディンゴの純血種は絶滅危惧種Ⅱ類(危急)に指定されており、このような純血種を発見・保護することが最優先事項となっている。ディンゴの子ども「ワンディ」がどこで生まれ、どのようにして裏庭で見つかることになったのかは不明だが、本来あるべき姿を受け継いだこの子とその子孫を、私たちは守り抜き、そして繋ぎ止めなければならない。

スペインの子ども17人が全身から体毛が生える「多毛症」になる、原因は意外なもの


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スペインで、ある奇妙な出来事があった。各地に住む17人の子どもに次々と全身から毛が生えてきたのだ。いわゆる多毛症と呼ばれるこの病気は、通常は伝染することはない。なぜ、子どもたちは同時多発的にこの病気にかかってしまったのだろうか?

多毛症は、何らかの原因によって全身あるいは一部の体毛が過剰に生えてしまう病気だ。男性ホルモンの過剰な分泌によるものや、がんなどの重篤な病気によって引き起こされるものがあり、稀ではあるが先天的な異常によって全身を覆うほどの体毛が生えた症例も報告されている。

今回の異常事態を受け、スペインの行政機関が状況を詳しく調べたところ、ある事実が明らかとなった。多毛症の症状が現れた子どもたちは全員、オメプラゾールという同じ胃薬を服用していたのだ。当局がこの胃薬について詳しく調査したところ、実はオメプラゾールではなく、ミノキシジルという薬であることが明らかになったという。

もしかしたら、一部の人はよくご存じかもしれない。ミノキシジルは、発毛効果があることで知られる発毛剤なのだ。どういうわけか、スペイン南部のマラガにある製薬会社の工場で、ミノキシジルがオメプラゾールと記載されたケースに誤って梱包され、そのまま薬局へと運ばれていたという。子どもたちの全身から体毛が生えた原因は、ミノキシジルによるものだったのだ。

このミノキシジルは外用薬、つまり皮膚につける薬ではないのか?と思うかもしれないが、もともとミノキシジルは高血圧を治療するために開発された内用薬だ。ミノキシジルには血管を拡張させる作用があるため、従来までは血圧を下げる降圧剤として利用されてきた。ところが、副作用として全身から体毛が生える症状が現れたことから、その後は発毛剤および脱毛症の治療薬として使用されることとなったという。

ミノキシジルの発毛のメカニズムについては未だに詳しくは明らかになっていないが、毛組織の血流を改善させ、発毛に関連する細胞を活性化させる効果があるとされている。また、現在でも薬剤の効きにくい重病患者の高血圧治療には、最終手段としてこのミノキシジルが使用されることもあるという。

問題のあった薬は回収され、製薬会社は一時的に操業を停止している。薬品の取り違えは生命に関わるような重大な事故だ。降圧剤としても使用されるミノキシジルは、特に子どもが服用すると場合によっては重篤な副作用が生じる恐れがある。取り違えがあった原因は不明とのことだが、消費者からすれば防ぎようのない事態であるだけに、原因の究明と徹底した再発防止策が求められる。

[alert title=”エピネシス・コラムズ”]
・発毛作用のあるミノキシジルには経口薬もありますが、髪だけでなく全身の毛が濃くなってしまう副作用があるため注意が必要です。[/alert]

奇妙で不可解な形態を持つ「ツノゼミ」の仲間たち(ギャラリー)


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カメムシ目ツノゼミ科に属するツノゼミは世界で約600属3200種以上が発見されており、まるで昆虫の多様性を体現したかのような奇妙で不可解な形態や模様を持つものが多く存在する。なぜそんな形になったのか、問いただしたくなるツノゼミの写真18枚。


Centrotus cornutus flickr photo by Gilles San Martin shared under a Creative Commons (BY-SA) license


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Twomarked Treehopper flickr photo by treegrow shared under a Creative Commons (BY) license


Oak Treehopper flickr photo by treegrow shared under a Creative Commons (BY) license


Buffalo Treehopper, back, MD, PG County_2013-08-20-17.27.49 ZS PMax flickr photo by Sam Droege shared with no copyright restrictions using Creative Commons Public Domain Mark (PDM)


Campylenchia latipes flickr photo by Wedontneedfeatherstofly shared under a Creative Commons (BY) license


Ant-mimicking Treehopper flickr photo by treegrow shared under a Creative Commons (BY) license


Keeled Treehopper flickr photo by treegrow shared under a Creative Commons (BY) license


Treehopper flickr photo by Pasha Kirillov shared under a Creative Commons (BY-SA) license


Membracis cf foliata flickr photo by Pasha Kirillov shared under a Creative Commons (BY-SA) license


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Black Treehopper flickr photo by treegrow shared under a Creative Commons (BY) license


Membracid Treehopper (Heteronotus sp.) flickr photo by berniedup shared under a Creative Commons (BY-SA) license


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B kimmel [CC BY-SA 4.0via Wiki Commons


Treehopper nymph – Ceresa species, Julie Metz Wetlands, Woodbridge, Virginia flickr photo by judygva shared under a Creative Commons (BY) license
ツノゼミの幼体も実に奇妙な形をしている。(Ceresa sp.)

12歳の少女が「人喰いバクテリア」に感染、緊急手術で一命を取り留める

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2019年6月、アメリカのフロリダ州で12歳の少女が”人喰いバクテリア”に感染し、緊急手術を受けて一命を取り留めた。この恐ろしいバクテリアに感染してしまったのは、インディアナ州在住のカイリー・ブラウンさん。2019年6月に家族でフロリダ州のデスティンに訪れ、ビーチで遊んだ翌日に最初の異変が現れた。

カイリー・ブラウンさんの右足ふくらはぎが痛みだしたのだ。家族は足の痛みを筋肉痛や足がつったものと考えてそのまま旅行を続けたが、翌日に痛みはさらに増して歩けないほどにまで悪化したという。家族がインディアナ州に戻る途中で主治医に相談したところ、すぐに医療機関を受診するようにとの指示があり、小児病院へ連れて行ったところ「壊死性筋膜炎」と診断され、すぐに緊急手術を受けることになった。

壊死性筋膜炎とは?

なんらかの理由によってできた傷口から”人喰いバクテリア”による細菌感染が起きると、感染した皮膚の血管に微小な血栓ができて、組織に栄養が流れなくなるために組織が壊死してしまう。
そうなると、本来は血液によって運ばれてくるはずの免疫細胞や、細菌が苦手とする酸素が届かなくなってしまうため細菌感染が急速に広がっていくのだ。特に、筋肉を覆っている筋膜に沿って壊死が広がっていくものを壊死性筋膜炎といい、こうなると事態は一刻を争う。細菌が血液に侵入して全身に流れる前に患者は壊死した部分を取り除く手術と抗菌薬による治療を速やかに受ける必要があるのだ。

ある程度進行してしまった壊死性筋膜炎は適切な治療を行っても死に至る可能性がある。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、壊死性筋膜炎を発症した人の3人に1人は命を落としてしまうという。
医師らは速やかに緊急手術に踏み切って感染部を切除、抗菌薬を静脈内に投与してカイリー・ブラウンさんは一命を取り留めた。

人喰いバクテリア

カイリー・ブラウンさんを襲った、皮膚の壊死性感染症を引き起こすような細菌は俗に”人喰いバクテリア”と呼ばれている。レンサ球菌属やクロストリジウム属、ビブリオ属などいくつかの種類が知られており、身体に傷がある状態で海や川などの水辺、プールや温泉などに入ったり、傷口を土などで汚してしまうことでこれらの菌が傷口から侵入することがあるのだ。実は、カイリー・ブラウンさんも、フロリダを出発する前にスケートボードで足に傷を負っていたようだ。

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”人喰いバクテリア”として悪名高いビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)。

”人喰いバクテリア”に感染し、皮膚の壊死が生じた場合は速やかに処置を行わなければならない。傷口から感染した場合の死亡率は約20%ほどであるが、これらの細菌が血液に入り込んだ場合の死亡率は50%以上となり、死亡率が急激に上昇する。少しの判断の遅れや処置の仕方によって、患者の運命が大きく左右されるのだ。

2016年に足の小さな傷から”人喰いバクテリア”の感染を起こしたマイケル・ファンクという人物は、カイリー・ブラウンさんよりも早く異変に気付き、病院で壊死した皮膚を切除したにも関わらず、細菌はすでに血管に入り込んでいたため病変部分が急速に拡大、感染した足の切断という大手術に踏み込んだにも関わらず、敗血症によって数日後に死亡した。さらに同年では、59歳の男性が足首の傷から”人喰いバクテリア”の感染を起こし、48時間で死亡しているという。

このような人喰いバクテリアの感染は「よくあること」ではないが、もし感染してしまった場合は一刻を争う事態へと発展してしまう。大したことのない傷だからといって処置せずそのまま放置したり、ましてやそのまま海や川などで遊んだりすることは絶対に避けるべきだろう。