絶滅と思われていた”歌う犬”、ニューギニア・シンギング・ドッグの野生個体を発見

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NEW GUINEA SINGING DOG
NEW GUINEA SINGING DOG flickr photo by cuatrok77 shared under a Creative Commons (BY-SA) license

野生では絶滅したと思われていた、希少種「ニューギニア・シンギング・ドッグ」の仲間がニューギニア島に生息しているという調査結果が、8月31日にアメリカ科学アカデミー紀要で発表されました。

ニューギニア・シンギング・ドッグはもっとも古い犬種の一つで、オオカミを家畜化する過程でヒトにより改良されたもっとも初期の特徴を備えており、オーストラリアのディンゴなどとは近縁の関係にあります。もともとは人に飼育されて改良された家畜でしたが、やがて逃げ出して野生化しました。

参考記事
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歌う犬、ニューギニア・シンギング・ドッグ

この犬の特徴はなんといっても歌うこと。ときに数頭~数十頭が集まり、特徴的な遠吠えを行います。

また、関節や脊柱が極めて柔軟であり、猫のように高い所に飛び乗ることができます。

現在は保護施設や動物園で約200頭が飼育されていますが、どの個体も1970年代に捕獲された野生のシンギング・ドッグの子孫で、近親交配がかなり進んでいるのが現状です。こうした状況では有害な遺伝子の蓄積が起きるため、長期化すると大きな問題になります。

ハイランド・ワイルド・ドッグ

野生のニューギニア・シンギング・ドッグは半世紀にわたって目撃されていませんでしたが、2016年になってニューギニア島西部の高地で、探検隊が野生の犬15頭を発見しました。

「ハイランド・ワイルド・ドッグ」と名付けられたこの犬は、もしかしたらニューギニア・シンギング・ドッグの祖先かもしれないと考えた研究者らは、2年後に再び同地を訪れて調査を行いました。

3頭のハイランド・ワイルド・ドッグから採取された血液からDNAを調べた結果、一致こそしなかったものの、現在までに確認されているどの犬種よりもニューギニア・シンギング・ドッグに遺伝子配列が近いことが明らかになりました。この差異は、物理的に数十年間離れていたことや、飼育個体の近親交配による影響であると推測されています。

研究者らは、このハイランド・ワイルド・ドッグと飼育個体のニューギニア・シンギング・ドッグを交配させて、いずれは本来のニューギニア・シンギング・ドッグを取り戻したいと語っています。

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