哺乳類

飼い慣らされていないカンガルーでも視線を送って人間に助けを求める――シドニー大学らの研究チーム

カンガルーは人間に「視線」を送ることで人間とコミュニケーションを取れることが、イギリス・ローハンプトン大学とオーストラリア・シドニー大学の研究者らにより報告されました。

イヌやネコ、ウマやヒツジなど人間に対して意図的にコミュニケーションを取ることができる動物は、これまで家畜化された動物だけだと思われていました。しかしどうやら、そうとも限らないようです。

研究者らはプラスチック容器にいれたエサをカンガルーの前に置いて、その様子を観察しました。その結果、容器を自力で開けることができないと分かったカンガルーは、目の前にいる人間をじっと見つめ、しばしば鼻先で突いたり引っかいて”助け”を求める仕草をみせました。

▽シドニー大学が公開した実験の様子。容器と人間を交互に見つめます。

実験の結果、11頭のうち10頭が人間を”積極的”にみつめ、さらにうち9頭は容器と人間を交互に見つめる”高度なコミュニケーション”を行ったといいます。

実験に参加したカンガルーは動物園にいる個体ですが、飼い慣らすようなことはしていません。研究者らは、カンガルーも他の家畜化されている動物と同じように、行動を順応させて人間と交流できるかもしれないと推測しています。

野生のコアラが家に侵入、クリスマスツリーに登っていたところを家族が発見

南オーストラリア州アデレード近郊でこのほど、コアラが民家に侵入してクリスマスツリーによじ登っているところを家族が発見しました。

この家に住むアマンダ・マーコミック(Amanda McCormick)さんはこの”思いがけない装飾”を見たとき、最初は家族の誰かが飾り付けたぬいぐるみだと思ったそうです。

16歳のテイラー・マーコミック(Taylah McCormick)さんはこのときの様子をTikTokに投稿しました。

アマンダ・マーコミックさんはすぐさま地元のコアラ保護団体である「1300KOALAZ」に連絡を取りましたが、職員も最初はいたずら電話だと勘違いしたといいます。

クリスマスツリーによじ登っていたこの健康な若いメスのコアラは、ほどなくして家を訪れた職員によって保護され、家の前で放されました。

1300KOALAZの職員によると、コアラは見た目がたいへん可愛らしいものの、しばしば攻撃的になり長い爪で怪我を負うことがあるため、自分で動かさない方が良いそうです。

とはいえ、オーストラリアでは2019年にクイーンズランド州の民家でクリスマスツリーに体長約3mものニシキヘビが発見されるという出来事があったので、今回は文字通り”可愛らしい”出来事であったといえます。

カナダで「ヘラジカに車を舐めさせないで」という標識を設置して注意喚起、その理由は?

カナダ西部アルバータ州ではこのほど、デジタル標識にて珍しい注意喚起がなされました。”DO NOT LET MOOSE LICK YOUR CAR”、「ヘラジカに車を舐めさせないで」――というものです。

草食動物は、ふだん食べている草だけでは十分な塩分を摂取することができません。そこで、草食動物は土や岩をなめて塩分をはじめとするミネラルを補給する必要があります。

こちらの動画はイタリアのアドリアーノ・ミリオラッティ(Adriano Migliorati)氏が、イタリア北部にある高さ49mのチンジーノダムで撮影したもので、ダムの岩壁に付着した塩分を舐めるためにアイベックスが命がけでダムの絶壁を登っています。

この電子標識が設置されたジャスパー国立公園の広報担当によると、ヘラジカは通常、公園内にある塩湖から塩分を摂取しているといいますが、「車体の表面に付着した塩分を摂取できることを覚えた」といいます。

▽車を舐めるヘラジカ。2016年CTV Newsより。

CTV News 『Caught on Cam: Moose licking salt off vehicles in Alberta』

ヘラジカのこうした学習が進めば、ヘラジカが道路に出没する機会が増え、人とヘラジカの両方にとって危険な状況が発生しやすくなる可能性が高まります。

ヘラジカはシカの仲間では最大の種類で、頭胴長3m、肩高2m、体重800kgにもなります。もし車と衝突してしまうと、ヘラジカが負傷するだけでなく車にも大きな衝撃をもたらし、最悪の場合はフロントガラスを突き破るといった大きな人身事故にもつながりかねません。

同公園では、ヘラジカなどの野生動物をみかけても車外には出ないようにし、もし近づいてきてもその場から離れるように注意を促しています。

野生のリスがカボチャをかじってハロウィンの飾り「ジャック・オー・ランタン」を作る驚きの動画

今年もハロウィンの季節がやってきました。ハロウィンの飾り物の定番といえばもちろん、カボチャをくり抜いて作るジャック・オー・ランタンです。しかし、ジャック・オー・ランタンを作るには時間と労力が必要です。

しかし、この大変な作業であるジャック・オー・ランタン作りを、なんと野生のリスにやってもらうという動画が公開されています。

アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーのとある庭に、ハロウィン用のカボチャを置きます。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

すると、木の上に作られた巣からまるまると太ったリスが現れました。どうやら、厳しい冬に備えてたくさんの脂肪をため込んでいるようです。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

台の上にのぼると、彫る場所にすぐ目星をつけてカボチャに噛りつきます。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

穴を掘り終わるとカボチャの上に立ち、彫ったときに出たクズを掃き出します。その手慣れた様子はさながら、幾多の名作を世に送り出してきた熟練の彫刻家のよう。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

左目の部分が彫り終わると、今度は右目の部分を彫り始めます。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

鼻の部分…


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

口の部分を彫っています。今度は丸い穴ではなく、しっかり横長に穴が開いています。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

ジャック・オー・ランタンが完成しました。しっかりと顔になっています。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

カボチャの中に火を灯してハロウィンを迎えます。リスによって無造作に彫られた穴が逆に不気味さを際立たせています。


youtube richardmangan 『Squirrels Carve Face in Pumpkin!』より

どのようにしてリスが顔を彫ることができたのかについては明かされていませんが、あるユーザーは目や鼻、口の部分にリスの好きなナッツオイルを塗っていたのではないかと指摘しています。

真偽は定かではありませんが、少なくともリスは大満足のようです。

男性が山道でピューマと遭遇、緊迫の6分間を映した動画が公開される

アメリカ・ユタ州でこのほど、男性がピューマに約6分間追跡されるという出来事がありました。

ピューマはネコ科ピューマ属の動物で、基本的にはおとなしい性質であることが知られていますが、人を襲うこともあり、アメリカでは過去には少なくとも20人以上がピューマに襲われて死亡しています。

ピューマが執拗につけ狙う緊迫の6分間

ユタ州に住むカイル・バージェス氏(26)が山道を歩いていたところ、小さな猫と出会いました。ボブキャットだと考えたバージェス氏がこの小さい猫を撮影しようと近づいたところ、小さい猫は奥へと消え、草陰からピューマが飛び出してきました。

どうやら先ほど出会った小さい猫はボブキャットではなくピューマで、このピューマはその母親のようでした。

ピューマは執拗にバージェス氏を追いかけます。バージェス氏は声を出し続け、ピューマに決して背を向けませんでした。

声を出すことは、動物同士の闘争においても広く観察される通り、強く刺激しない限りは相手を牽制する効果があります。

また、多くの野生動物は背中を向けて無防備になった相手を狙うことが知られています。常に視線をそらさず、背を向けなかったことは非常に良い判断でした。

▽男の子が振り向いたとたん、ライオンが襲い掛かります。

▽男の子が正面に向き直ったとたん、トラが襲い掛かります。

威嚇突進(ブラフチャージ)

ピューマが幾度となくみせた飛び掛かるような動作は威嚇突進(ブラフチャージ)と呼ばれるものです。


Youtube ABC7より『Viral video shows cougar stalking Utah hiker in terrifying 6-minute encounter – FULL VIDEO | ABC7』

もし、この動作に恐怖して背を向けて走るようなことがあれば、ピューマから逃げ切れるわけもなく、大きな怪我を負っていたかもしれません。

クマと遭遇した場合にも有効

今回のような対処法はクマにも有効であり、環境省もクマと遭遇した場合には「目をそらさずに後ずさりする」ことを推奨しています。

ただし、バージェス氏のように大声でどなり散らしたり、石を投げるといった行動はクマをさらに刺激してしまう可能性が高いので、この部分に関してはマネしないように注意が必要です。

また、クマも急に突進して停止したり、地面を強くたたくといった威嚇行動(ブラフチャージ)を繰り返し行うことがあります。パニックに陥らず冷静に対処することで、この動画のようにうまく切り抜けることができるでしょう。

[alert title=”エピネシス・コラムズ”]
・大声を出すことが威嚇に役立つかどうかは専門家の間でも意見が分かれることがありますが、余計な刺激を与えないためにも、なるべく大声を出さないことが推奨されます。[/alert]