水生動物

ツツイカも色を変えて擬態することができる、掃除中に偶然発見――沖縄科学技術大学院大学

タコやコウイカは周囲の環境にあわせて体の色を変化させる擬態能力を持つことが知られていますが、このほどツツイカも体の色を変化させる能力があることを沖縄科学技術大学院大学の研究者が偶然発見しました。

イカ大きく分けてコウイカ類とツツイカ類に大別することができますが、ツツイカの多くは外洋に生息しており、飼育が難しいため擬態能力の研究についてはこれまでコウイカやタコが研究対象となっていました。しかし2017年に沖縄科学技術大学院大学の研究チームはツツイカの仲間であるアオリイカの長期飼育に成功し、観察実験を行うことができるようになりました。

そしてある日、研究者らが水槽に生えた藻を除去する清掃を行っていると、藻を除去した場所とそうでない場所ではアオリイカが体色を変化させていることに気付いたといいます。

論文の特筆者はプレスリリースで「これは実に驚くべき反応で、そしてこの能力にこれまで誰も気づかなかったことにも未だに驚いています。」とコメントしています。

Reference:第3の頭足類ツツイカが背景に合わせて体色を変化させることを初めて記録 – OIST

エクアドルの熱帯アンデスで体が半透明のカエルが発見される

※この記事には一部の人にとって不快な、あるいは衝撃的なコンテンツが含まれています。
閲覧の際には十分ご注意ください。

このほど、エクアドルのアンデス山脈のふもとを流れる谷川グアイリャバンバを挟んで、アマガエルモドキ科のカエル2種が発見され、今月18日に学術誌『PeerJ』に掲載されました。

この論文の共著者であり、非営利団体アンデアン・コンドル財団の研究員であるジェイミー・クレブラスさんは、Instagramのアカウントに今回発見された新種のアマガエルモドキ科のカエルをスライドショー形式で投稿しています。

▽ジェイミー・クレブラスさんの投稿。7枚のスライドショーになっています。

今回発見されたカエルはHyalinobatrachium mashpi(ヒアリノバトラキウム・マシュピ)とHyalinobatrachium nouns(ヒアリノバトラキウム・ノウンス)の2種。いずれも同じ標高で同じような環境に生息しています。

この2種はいずれもアマガエルモドキ科に属しており、このカエルの仲間は半透明の皮膚や体をもつことから「グラスフロッグ」とも呼ばれています。1枚目の画像では、赤い心臓や消化器官、緑色の卵が入った袋が外から透けて見ることができます。

熱帯アンデスには驚くほど生物多様性に富んでおり、未発見・未記載の種も数多く生息していますが、人間の活動によって人知れず絶滅の危機にさらされているのだそう。
発見することは、知ること、そして守ることへの第一歩です。

イギリスで透明な生物が大量に打ちあがり大きな話題に――イギリス・ウェールズ

イギリス・ウェールズのガウアー半島の海岸で、数百~数千もの透明な生物が大量に打ち上がり大きな話題になっています。

発見者であるイジー・マッカーサーさん(Izzy Mcarthur)は今月1日、トール湾に泳ぎに行った際に海岸線に沿って奇妙で透明な物体が数百~数千個も打ち上がっているのを発見しました。

地元のオンライン誌『Wales Online』によるとこの生物は「シーグーズベリー」として知られるテマリクラゲ科テマリクラゲ属の一種Pleurobrachia pileusで、この時期のブリストル海峡では珍しいことではないといいます。

このクシクラゲの仲間はおもに北大西洋、北海、バルト海、黒海に生息しており、体長の20倍以上にもなる触手で獲物を捕らえます。

また、他の有櫛(ゆうしつ)動物と同様に、泳ぐ際には繊毛が数万本も束ねられてできた運動器官「櫛板(くしいた)」が反射により虹色に輝きます。

水中で見るぶんには非常に美しい生物ですが、ここまで大量に打ち上がると…

Reference:Thousands of strange-looking jelly creatures have washed up on a Gower beach

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釣り糸にくっついたコトクラゲがまるで干した洗濯物のよう、フィリピンの水深120mの海で撮影

こちらは、カリフォルニア科学アカデミーの研究者であるLuiz A. Rochaさんが投稿したツイートです。

切れた釣り糸にくっついて並んでいるコトクラゲが、まるで干した洗濯物のようです。

コトクラゲ(Lyrocteris imperatoris)は、有櫛(ゆうしつ)動物門に属するクシクラゲ類の仲間で、様々なカラーバリエーションがあることで知られています。

他のクシクラゲ類とは異なり、通常のクラゲのように海中を浮遊せず、海底の岩やサンゴなどに付着して生活しています。


コトクラゲはうさぎの耳のような可愛い姿をしていることで知られています。

また、泳ぐために必要な櫛板(しつばん)は成体になると消失してしまいます。この櫛板は、同じクシクラゲ類のウリクラゲやカブトクラゲでは虹色に輝く帯として知られています。

学名の種小名である「imperatoris」は天皇に相当する意味があり、1941年に昭和天皇が江の島沖の水深70mの底生生物調査でこのコトクラゲを初めて発見したことに由来しています。

アメリカ・パドレ島でアオミノウミウシが相次いで目撃される、触らないよう警告

Glaucus atlanticus
Poyt448, Peter Woodard / CC BY-SA

アメリカ・テキサス州のパドレ島の国立海岸で、ある生物の目撃情報が相次いでいる。「ブルーエンジェル」、または「ブルードラゴン」という名前で呼ばれることもあるアオミノウミウシだ。

このパドレ島の国立海岸は、本来ならアオミノウミウシが見つかることはない。パドレ島国立海岸のfacebookアカウントにアオミノウミウシの写真を提供したトレイ・レーン一家の話によると、30年間に渡ってこのパドレ島で休暇を過ごしているが、アオミノウミウシを見たのは今回が初めてで、今シーズンに入って立て続けに4匹を発見しているという。

アオミノウミウシは体長約3cmほどのミノウミウシのなかまで、外洋性であるため通常は沿岸部でみられることはないが、今回のように沿岸へと漂着することがある。大西洋や太平洋、インド洋の温帯~熱帯の海に広く見られ、日本では南西諸島や小笠原諸島など鹿児島より南の海でみられる。広い外洋に分布して生息しているため、そういった意味ではあまり珍しくはない。

アオミノウミウシの「盗刺胞」

この生物の厄介なところは、毒を持っているということだ。アオミノウミウシはクラゲやイソギンチャクのように刺胞という毒針のある細胞を持っているが、実はこの刺胞は本来、アオミノウミウシが作ったものではない。実は、アオミノウミウシはクラゲの毒を”盗む”ことができるのだ。

アオミノウミウシは肉食性で、主にクラゲ類を食べる。このとき、ギンカクラゲやカツオノエボシなどが持つ刺胞を、そのまま体内に取り込んで体表に移動させ、身を守るための武器として再利用するのだ。悪名高いカツオノエボシの刺胞を取り込んだアオミノウミウシに触れると、カツオノエボシほどの刺胞はないにしても、刺された部分に激痛を感じるという。

参考記事
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このアオミノウミウシはしばしば大量発生して沿岸部に流れ込むことがあり、2017年にはクイーンズランド州沿岸で63人もの観光客がミノウミウシに刺されて病院に搬送されたという。今回アオミノウミウシが相次いで目撃されているパドレ島では、被害が出ないようにFacebook上でも注意が呼びかけられている。

体長が数cmであるため、触れたことに気付かれないこともあり、その美しさから不用意に触って刺されてしまうこともあるようだ。しばしば、このアオミノウミウシを(下からすくうように)手で持つ写真が投稿されることがあるが、もしこのアオミノウミウシに偶然遭遇したとしても、決して触らないように。