猫アレルギーの人でも大丈夫な猫をつくり出す研究が進行中

バイオテクノロジー企業InBioをはじめとするアメリカの合同研究チームはこのほど、猫アレルギーの原因となるタンパク質の産生を阻害して低アレルギー性の猫を作る研究について発表しました。

猫アレルギーのおもな原因は猫の「Fel d 1」というたんぱく質です。これが猫の唾液や毛に含まれており、猫アレルギーの人が吸い込むとくしゃみや鼻水、喘息や目の充血やかゆみなどの症状を引き起こします。

しかしなぜ猫が「Fel d 1」を生成するのかについてはまだよく分かっておらず、猫の品種によってもその生産量にはばらつきがあることから、猫にとって必須ではなく、無くても健康上問題ないと考えられています。

これに注目したバイオテクノロジー企業InBioをはじめとするアメリカの合同研究チームは、遺伝子改変技術を用いてこの「Fel d 1」の産生に関わる遺伝子を削除する研究に取り組んでおり、このほど研究成果が発表されました。

将来的にはアレルゲンとなる「Fel d 1」をほとんど、あるいは全く産生しない猫をつくることを目指していますが――猫の健康上なにも問題がないとしても、人間の都合の良いように猫を作り変えるのはいかがなものでしょうか…

Reference:Evolutionary Biology and Gene Editing of Cat Allergen, Fel d 1

アイデアに困ったらキャンプがいいかも…テントのなかでは創造力が高まる――関西学院大学

よいアイデアが浮かばないときはキャンプに出掛けてみると良いかもしれません――

関西学院大学の研究者らは、テントのなかで作業すると創造力が高まる可能性があることを明らかにしました。

研究者らは大学構内にある教室と芝生広場にそれぞれテントを設置し、テント内と外でそれぞれ参加者に創造性課題を行わせて成績にどのような影響があるかを検証しました。

その結果、テント内にいるグループはその場所に関わらず課題の成績が高くなっていたといいます。


関西学院大学のプレスリリースより

今回の検証について詳しく分析すると、参加者には「開放的な空間で成績が高いアウトドア派の人」、「閉鎖的な空間で成績が高いインドア派の人」、「どのような空間でも成績に影響しない人」の3タイプに分かれることが明らかになりましたが、テント内ではアウトドア派もインドア派のいずれも成績が高い傾向にあったといいます。

どうやら、テントはアウトドア派にとって「屋内にいながらもアウトドア感を味わえるアイテム」として機能し、インドア派にとっては「屋外にいながらもインドア感を味わえるアイテム」として機能しているようです。

Reference:テント内で作業すると創造力が高まる可能性を示唆~Camping Campus の教育効果を初めて実証~ – 関西学院大学

ウナギの稚魚は食べられてもエラの隙間から逃げることができる――長崎大学

ニホンウナギの稚魚は捕食者に食べられてもエラの隙間から逃げ出す能力があることを長崎大学の研究者らが明らかにしました。

ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されていますが、その生態にはまだよく分かっていないことが多く、資源の維持・回復のためにも全容の解明が望まれています。特に、ニホンウナギが捕食者に対してどのような回避行動をとるのかについて直接調べた研究はありませんでした。

そこで長崎大学の研究者らは、ニホンウナギの稚魚と捕食者であるドンコを同じ水槽に入れ、稚魚がどのように捕食から逃げるのか、そしてどのように食べられてしまうのかを観察する研究を開始しました。

実験当初はハイスピードカメラを使って捕食者から逃げる瞬間、そして捕食者に食べられる瞬間を撮影して観察していましたが、あるとき実験終了後になぜかドンコに食べられたはずのウナギが水槽内を泳いでいるのを研究員が発見。

ハイスピードカメラから長時間撮影できる通常のカメラに切り替えて観察を行うと、ウナギの稚魚がドンコのエラの隙間から抜け出しているのを確認したといいます。

半数がエラから逃げ出すことに成功

研究者らが他の個体でもエラから逃げ出すことができるかどうかを検証した結果、54匹中28匹、なんと半数以上がエラの隙間から抜け出すことに成功しました。

捕食者に食べられてしまった後に生き残ることができる生物はこれまでにも多く確認されています。例えば2018年にはナナフシが鳥に食べられても卵が無傷で排出されることが確認されました。

また、2020年にはマメガムシという昆虫がカエルに食べられても生きたまま消化管を通過してお尻から脱出することが明らかになりました。

参考記事
カエルに食べられてもお尻から脱出する昆虫が発見される – エピネシス
https://epinesis.net/archives/post-4371.html

こうした生き残り戦略は多くの場合、頑丈な殻などによって消化されずに排泄されるといった高い防御力を活かした”受け身の戦略”である一方で、今回のニホンウナギの回避行動は防御力によらず巧みな技でエラからすり抜けるという点で、生物としても非常に珍しい行動であるといえます。

また、興味深いことにエラの隙間から抜け出した個体はすべて尻尾から抜け出したといいます。これは、ウナギが後ろ向きに泳ぐことが得意なことと関係しているかもしれないと研究者らは考えています。

今後は、ニホンウナギだけでなく同じウナギ科のアナゴや、ハゼ科、ナマズ科などにみられる細長い形をした他の魚でも同様の能力を持っているのかについて明らかにしていく方針です。

トルコの牧場で1つ目のヤギが産まれる――トルコ・キリス県

※この記事には一部の人にとって不快な、あるいは衝撃的なコンテンツが含まれています。
閲覧の際には十分ご注意ください。

トルコ南部のキリス県ゲクムサ村の牧場で先月、一つ目のヤギが産まれたとDAILY STAR誌が報じました。

牧場を営むアフメット・カルタル(Ahmet Kartal)さんは、25年間ものあいだ畜産業に携わっていましたがこのような出来事は初めてなのだそう。

このヤギは眼球が入る穴(眼窩)が一つしかなく、その中に2つの眼球がある頭蓋骨の形成異常奇形で、耳の異常発達および鼻の発育不全がみられるといいます。

通常、このようなヤギが産まれた場合は数日で死んでしまうか、しばしば感情的に処分してしまうことがありますが、農場主のカルタルさんは「命を救ってほしい」と地元当局に訴えており、DAILY STAR誌には仔ヤギを抱っこする写真が掲載されています。

恐らく長生きすることは難しく、成長できたとしても異常形成による苦痛が伴う恐れがありますが、それでも他のヤギと変わらない愛情を注ぎ大事に扱うカルタルさんの想いが感じられます。

人の血液中から初めてプラスチック粒子が検出される――オランダ・アムステルダム自由大学

このほど、オランダ・アムステルダム自由大学の研究により人の血中からはじめてプラスチック粒子が発見されました。

研究者らが匿名の健康な被験者22名の血液サンプルを分析した結果、うち17名の血液サンプルからプラスチック粒子が確認されたといいます。

確認されたプラスチック粒子のうち最も多かったのがPET(ポリエチレンテレフタラート)で約半数を占め、ポリスチレンが36%、ポリエチレンが23%でした。

今回の研究では0.0007mmという非常に小さなプラスチック粒子を検出することができ、22名の血液サンプルにおけるプラスチック粒子の濃度は平均1.6㎍/mLという非常に低い含有レベルではあったものの、研究者らは健康への長期的な影響を強く懸念しています。

Reference:Microplastics found in human blood for first time – The Guardian