不気味な生物「ユムシ」が、カリフォルニアのビーチに大量に打ち上げられる

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アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコの美しいドレイクス・ビーチ(Drekes Beach)。しかし、今ここは地獄と化している。日本では「ユムシ」と呼ばれている奇妙で不気味な生物が、この海岸に大量に打ち上がっているのだ。

ユムシとはどんな生物なのか?

ユムシ(螠虫)はミミズやヒルなどが属する環形動物の一種で、ユムシ動物ユムシ目ユムシ科ユムシ属に分類される生物の総称だ。体長はおよそ10~30cmほどで、太ったミミズのような姿をしており、乳白色の体はまるで皮膚のようで薄気味悪い。海外ではその姿からペニスフィッシュ(penis fish)と呼ばれているようだ。


IMG_2966 flickr photo by evenkolder shared under a Creative Commons (BY) license
食用として積まれたユムシ。

一方の先端には口があり、その周囲には剛毛が生えている。興味深いことに、この剛毛が何の役に立っているのかはよく分かっていないという。そして、その口の反対側には肛門が備わっている。ナマコでは口と肛門が一緒になっているが、ユムシの場合は口と肛門でしっかりと分かれている。


IMG_3031 flickr photo by evenkolder shared under a Creative Commons (BY) license

干潟の砂などに潜って生活し、吻(ふん)と呼ばれる器官を伸ばして、粘液を分泌しながらデトリタス(生物由来の死骸や排泄物などの有機物)を絡めとり、繊毛で吻の根本にある口まで運んで食べる。雄と雌に分かれている雌雄異体であり、生殖には体外受精が行われる。産まれた幼生はしばらくプランクトンとして浮遊生活を送ったのち、砂に潜って底生生活を行うようになる。

釣りのエサとして使われることもあるが、韓国や中国では食材として刺身にしたり、炒め物や煮物にして食べられており、特に韓国では「ケブル」と称され、媚薬の効果があると信じられている。
日本でも北海道の一部などでは珍味として知られており、口と肛門のある両端を切り、内臓を取り出してから刺身や煮物、野菜炒め、酢味噌和えなどにして食べるという。ユムシには特有の食感があり、味はミル貝に似ているそうだ。

カリフォルニアでは冬季特有の強い低気圧によって嵐に見舞われ、海底にいたユムシが巻き上げられて一斉に打ち上がったという。訪れた人々は気味の悪い様子を示しながらも、一部の人々はこの状況を意外にも楽しんでいるという。海岸を埋め尽くすほどのおびただしい数のユムシが今後どうなってしまうのかは見当もつかないが、しばらくは海鳥たちのビュッフェとして楽しまれることなりそうだ。

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