カナダ西部アルバータ州ではこのほど、デジタル標識にて珍しい注意喚起がなされました。”DO NOT LET MOOSE LICK YOUR CAR”、「ヘラジカに車を舐めさせないで」――というものです。
Oh hi, moose. We have strict instructions about your snack habits. #jasper #Alberta ?? pic.twitter.com/xSNo7YBrXS
— Carolyn Campbell (@_CLCampbell) November 15, 2020
草食動物は、ふだん食べている草だけでは十分な塩分を摂取することができません。そこで、草食動物は土や岩をなめて塩分をはじめとするミネラルを補給する必要があります。
重力に逆らってダムの絶壁を登るアイベックス。ヤギの一種で、二つに割れた蹄と内側にある肉球を使ってどんな断崖をも登る動物界屈指のクライマーです。草だけでは補えない塩分を舐めるために登るそうですが…見ているほうはヒヤヒヤします。pic.twitter.com/VrKeIgrOLz
— エピネシス (@epinesis) August 27, 2020
こちらの動画はイタリアのアドリアーノ・ミリオラッティ(Adriano Migliorati)氏が、イタリア北部にある高さ49mのチンジーノダムで撮影したもので、ダムの岩壁に付着した塩分を舐めるためにアイベックスが命がけでダムの絶壁を登っています。
この電子標識が設置されたジャスパー国立公園の広報担当によると、ヘラジカは通常、公園内にある塩湖から塩分を摂取しているといいますが、「車体の表面に付着した塩分を摂取できることを覚えた」といいます。
▽車を舐めるヘラジカ。2016年CTV Newsより。
CTV News 『Caught on Cam: Moose licking salt off vehicles in Alberta』
ヘラジカのこうした学習が進めば、ヘラジカが道路に出没する機会が増え、人とヘラジカの両方にとって危険な状況が発生しやすくなる可能性が高まります。
ヘラジカはシカの仲間では最大の種類で、頭胴長3m、肩高2m、体重800kgにもなります。もし車と衝突してしまうと、ヘラジカが負傷するだけでなく車にも大きな衝撃をもたらし、最悪の場合はフロントガラスを突き破るといった大きな人身事故にもつながりかねません。
同公園では、ヘラジカなどの野生動物をみかけても車外には出ないようにし、もし近づいてきてもその場から離れるように注意を促しています。